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研究
星細胞系腫瘍におけるPCNA標識率の測定
著者: 別府高明1 荒井哲史1 金谷春之2 佐々木功典1
所属機関: 1岩手医科大学第一病理 2岩手医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1255 - P.1259
文献購入ページに移動星細胞系腫瘍(astrocytic tumors)は一般的に予後不良な脳腫瘍であるが,その悪性度の評価や予後の推測は,いまだ病理組織像に大きく依存しているのが現状である.病理組織分類は,細かく分類され診断学的には極めて有川である19,32).しかしながら,同一組織群に分類されるにもかかわらず,患者の予後に大きな差が見られることもまれではなく,悪性度の評価を形態学的手法のみに頼ることについては問題がある.現在,腫瘍の生物学的性状をより直接的に反映するマーカーの検索が精力的に行われている理由はここにある.頭蓋という閉鎖された腔内では,腫瘍細胞の増殖能が患者の予後を左右する重要な因子の一つであり,astrocytic tumorsにおいても,組織像に加えて,増殖能を定量的に計測することの重要性が指摘されており,モノクローナル抗体やflowcytometryを用いた悪性腫瘍の成長解析が盛んに行われるようになっている8,15,18,23,25,26,28).DNA合成に必要な酵素の一つであるDNA polymeraseδの補助因子である4)PCNA(proliferating cell nuclear antigen)は,増殖期にある細胞の核内に特異的に発現するといわれており2,3,5,31),腫瘍細胞の増殖能を反映するマーカーとして最近注目されている6,7,10,13,20,21,29,30).脳における代表的腫瘍であるastrocytic tumorsにおいて抗PCNAモノクローナル抗体を用いてPCNAの標識率(labeling index:LI)を測定し,その臨床的有用性を十灸討するとともに病理組織像と対比した.
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