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研究
Granulomatous Hypophysitisの1例
著者: 田中柳水1 亀谷徹2 笠井潔2 川野信之1 矢田賢三1
所属機関: 1北里大学脳神経外科 2北里大学病理
ページ範囲:P.1283 - P.1288
文献購入ページに移動下垂体前葉のホルモン非分泌性腺腫は,通常頭痛,全般的な下垂体機能低下,視力視野障害で会くつかれることが多い.しかし稀ではあるが下垂体前葉組織の炎症性病変によって同様な症状を呈することが知られている.今回われわれの経験した1症例も臨床的には,無月経と乳汁分泌が主訴で,放射線学的にはトルコ鞍内に主座をもつ鞍上部に進展した腫瘤として認められた。術前診断はホルモン非分泌性下垂体腺腫としたが,組織学的には下垂体前葉組織の虫くい状の破壊を示す他に,散在性のリンパ濾胞の形成を科三う多数のリンパ球浸潤と異物型多核巨細胞,石灰沈着を認めその周囲には類上皮細胞が集合している炎症性疾患でgranulomatous hypophysitisと診断した.本症例の発症機序として自己免疫反応の関与が示唆されていることから自己免疫疾患としての可能性を検討したが確証は得られなかった.
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