文献詳細
文献概要
脳腫瘍の組織診断アトラス
(20)血管腫Vascular Hamartomas
著者: 小林槇雄1 柴田亮行1
所属機関: 1東京女子医科大学第一病理
ページ範囲:P.109 - P.113
文献購入ページに移動I.はじめに
神経系の血管腫瘍は,von Hippel Lindau病に合併する小脳の血管芽細胞腫hemangioblastomaを除いて真の腫瘍性病変ではなく,その本態は血管組織から構成される組織奇形vascular malformationあるいは過誤腫hamartomaと見做されている.頭蓋内では,脳,髄膜に生じ,全ての脳腫瘍に占める発生頻度は0.1-4%(Zulch21),1986),本邦では2.5%(石田,1990)で,剖検時に偶然観察される機会も多い.血管奇形の命名は研究者により異なるが,Bergstrand2)により提唱された分類では,1)海綿状血管腫cavernous angioma,2)蔓状血管腫racemose angioma,3)血管芽細胞腫angioblas-tomaの3群とし,2群をさらに1)血管拡張症telan-giectasia,2)Sturge-Weber病,3)動脈性蔓状血管腫arterial racemose angioma,4)静脈性蔓状血管腫ve-nous racemose angioma,5)動静脈性血管瘤arteriove-nous aneurysmaに区別するものであった.その後,Russel16)らは,組織形態の特徴から1)拡張性毛細管腫capillary telangiectases,2)海綿状血管腫cavernous an-gioma,3)動静脈奇形arteriovenous malformation,4)静脈性奇形venous malformationに分類している.本稿では,Russelの分類に従い病理所見を述べてみたい.
神経系の血管腫瘍は,von Hippel Lindau病に合併する小脳の血管芽細胞腫hemangioblastomaを除いて真の腫瘍性病変ではなく,その本態は血管組織から構成される組織奇形vascular malformationあるいは過誤腫hamartomaと見做されている.頭蓋内では,脳,髄膜に生じ,全ての脳腫瘍に占める発生頻度は0.1-4%(Zulch21),1986),本邦では2.5%(石田,1990)で,剖検時に偶然観察される機会も多い.血管奇形の命名は研究者により異なるが,Bergstrand2)により提唱された分類では,1)海綿状血管腫cavernous angioma,2)蔓状血管腫racemose angioma,3)血管芽細胞腫angioblas-tomaの3群とし,2群をさらに1)血管拡張症telan-giectasia,2)Sturge-Weber病,3)動脈性蔓状血管腫arterial racemose angioma,4)静脈性蔓状血管腫ve-nous racemose angioma,5)動静脈性血管瘤arteriove-nous aneurysmaに区別するものであった.その後,Russel16)らは,組織形態の特徴から1)拡張性毛細管腫capillary telangiectases,2)海綿状血管腫cavernous an-gioma,3)動静脈奇形arteriovenous malformation,4)静脈性奇形venous malformationに分類している.本稿では,Russelの分類に従い病理所見を述べてみたい.
掲載誌情報