icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科20巻2号

1992年02月発行

文献概要

研究

脳実質内転移性腫瘍の摘出例における検討—主に予後を左右する因子について:Median Survival Timeの面より

著者: 中川秀光1 木村恵春1 中島義和1 泉本修一1 早川徹2

所属機関: 1大阪府立成人病センター脳神経外科 2大阪大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.115 - P.121

文献購入ページに移動
I.はじめに
 今日まで転移性脳腫瘍に対して外科的摘出が良いか放射線治療2,7)に代表される他の保存的治療がよいか結論は川ていない.一般的には単発性の脳転移巣に対して摘出後放射線治療を行うことが多く1,15),長期生存例はやはり脳転移巣の摘出を受けた例に多いとする報告が見られる5,19).当施設においては転移性脳腫瘍に対して比較的積極的な治療方針を取っており,その外科的手術適応は,原発巣を含めてその他の脳以外の系統臓器における転移巣の状態が比較的安定しており,煙期にそれにて臥床を余儀なくされず,かなりのquality of lifeを維持できると判断される場合(原則的には少なくとも2-3カ月以上)が基本であり,多発性であっても転移性脳腫瘍の摘出にて神経症状の改善のみならず,生存日数の延長が得られ,一定以上の大きさ(一般に1cm以上)があれば,できるだけ一期的に,金摘出するようにしている.勿論病態,患者の希望などにより適応を十分考慮することにしている.これらの転移性脳腫瘍症例の予後を左右する因子についても種々の報告がみられるが,必ずしも絶対的なものでない印象をうける.今回自験例を分析してこれら一般的予後因子について検討を加えるとともに,転移性脳腫瘍摘出例における死亡原因ならびに術前・術後におけるperformance statusなどの面より手術的治療の意義についても考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?