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研究
髄内病変による中枢性疼痛に対する脊髄硬膜外刺激
著者: 太田穣1 秋野実1 岩崎喜信1 阿部弘1
所属機関: 1北海道大学脳神経外科
ページ範囲:P.147 - P.152
文献購入ページに移動Deafferentation painとは末梢の侵害受容器の関与による痛みではなく,痛覚求心系の障害の結果出現する痛みを言う.求心路の末梢で遮断される場合(末梢神経の障害)と中枢で遮断(二次ニューロン,三次ニューロンの障害)される場合に大別される.その明確な発生機序は未だに不明である7).
しかし,臨床的には,deafferentation painに対し慢性的電気刺激療法が,一部の患者で有効であることが知られている.この中で,脊髄硬膜外刺激(DCS;dorsalcolumn stimulation)は,1970年Shealy22)らが,臨床応用として,慢性疼痛の患者に行って,良好な結果を得て以来,様々な種類の慢性疼痛を有する患者に行われてきている.DCSは,一般的に中枢性のdeafferentationpainには効果が乏しいといわれているが,この中には効果が得られたという報告も散見される8,18,21,26,28).
今回,われわれは脊髄髄内に病変を有する頑痛症例に対し脊髄硬膜外電気刺激治療を行った.ここでは,その治療効果を原因疾患,痛みの発生部位,電極設置部位,刺激条件,痛みの性質,有痛期間,試験刺激時のpares-thesia(electrical paresthesia),刺激時および刺激を切った後の効果,初期効果(刺激電極設置後1週間の効果;initial pain relief),初期効果にわけて検討し,DCSの除痛効果を左右する因fを考察し,あわせて,これまでの文献上の報告例と比較検討した.また,deafferenta-tion painの発生機序や,脊髄硬膜外刺激による除痛機序についても,若干の考察を加えた.
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