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形成的自己評価のススメ
著者: 森竹浩三1
所属機関: 1島根医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.199 - P.200
文献購入ページに移動約1年前,平成2年度医学教育者のためのワークショップに参加させてもらった.ここでは様々なことを学んだが,評価についての定義,分類などを復習してみた.評価の方法には大きく分けて二つあり,その一つは,行動の終了時に試験でもってその成果を総括するやり方で総括的評価(summative evaluation)と呼ぶ.もう一つの評価法は,行動の途中でそれが目標に正しく向かっているか否かを判定し,もしはずれていればそのつど形成課程を方向修正していく方式で形成的評価(formative evalua-tion)と呼ぶ.この形成的評価の結果をフィードバックすることによって学習者は学習方法を矯正でき,教師も教授方法を改善し学習指導の指針をより理想に近いものへと高めることができる.面倒なことのように思えるが,大きな過ちを避けることができ,結局は目標に早く到達しやすい.過日,この方法を授業に応用してみた.授業終了時に学生に記名式アンケート用紙を配りその授業についての感想を書かせた.黒板の字が光って見えにくい,早口でわかりにくい,講義内容のどの部分が理解しにくかった,などの指摘があり,以後の授業の参考にすることができた.そのほかアンケートには,今年入局の教室員が自発的にやってくれていた黒板消しに対し,封建的だとの非難めいた言葉があり,現代学生気質の一端を実感でき,また反論の場も得ることができた.
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