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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科20巻3号

1992年03月発行

文献概要

研究

重症頭部外傷における外傷性脳室内出血

著者: 橋本卓雄1 中村紀夫1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学脳神経外科 2ケルン大学脳神経外科

ページ範囲:P.209 - P.215

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I.はじめに
 加速度衝撃による脳損傷の中には,病理学的に頭蓋内血腫や脳挫傷を伴なわないで軸索損傷や小血管の才員傷による広範な小出血が認められることがあり,これらの病態はdiffuse neumnal injuryとして知られていた.Strichは1956年,diffuse severe degeneration of thewhite matterを報告し22),以来もっとも重症のdiffuseneuronal damageの一群がshearing injury, central Cere—bral trauma, diffuse white matter shearing injury, dif—fuse axonal injuryとして報告されている1).これらのdiffuse axonal injuryでは,CT scan上,脳梁,灰白質白質境界部,脳幹出血,脳室内出血などが認められることが知られている.
 CT scan導人前には,その臨床的診断が困難であったが,CT scanが普及し,頭蓋内外傷性変化が詳細に観察される現在,臨床的にも重症頭部外傷に稀ならず合併する病態であることが明らかになってきた.ことにdif-fuse axonal injuryの一環としての外傷性脳室内出血(traumatic intraventricular hemorrhage,以下TIVH)がしばしば経験されるようになった.しかしTIVHの頻度,外傷機転,出血源,予後,臨床的意義など明らかでない点がある.そこで筆者らは,来院時すでに高度の意識障害を呈した重症頭部外傷239例中,diffuse axonalinjuryにより発生したと考えられるTIVH32例について臨床的に検討したので文献的考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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