Neurological Surgery 脳神経外科20巻3号

1992年03月発行

症例

中脳海綿状血管腫の1全摘出例

著者： 田中聡¹ 堀智勝¹ 谷浦晴二郎¹ 山本富裕美¹ 井上幸哉¹ 阿武雄一¹ 沼田秀治¹ 田中順一²

所属機関： ¹鳥取大学脳幹性疾患研究施設神経外科 ²東京慈恵会医科大学神経科学研究部神経病理研究室

ページ範囲：P.273 - P.276

I．はじめに
　脳幹部の血管腫に対する直達手術の報告は稀である^{1-6,8-10,14,19）}．特に中脳においてはこれまでに数例を数えるのみである^{1,2,4,6,10）}．しかし，MRIなどの画像診断および手術手技の進歩により^12），これまで直達手術が不可能と考えられていた脳幹部病変に対しても手術適応となるものが今後増加してくるものと考えられる．今回，われわれは出血発作を繰り返し，次第に神経症状の増悪を認めた中脳の大きな海綿状血管腫に対して，3回の手術により全摘出を完遂し得た症例を経験したので，若干の文献的考察を加え報告する．