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研究
Sphenoclival Regionに対する新しい手術術式—Trans Le Fort I Approach
著者: 川上勝弘1 山内康雄1 松本昊一1 坂井信幸1 河村悌夫1 松村浩1 田嶋定夫2
所属機関: 1関西医科大学脳神経外科 2大阪医科大学形成外科
ページ範囲:P.333 - P.338
文献購入ページに移動従来,蝶形骨洞やトルコ鞍内の占拠性病変に対しては,transsphenoidal approach(Hardy's operahon)が確立された優れた手術術式として広く普及しているが10),一方では術中狭い術野によって直視下での顕微鏡操作が制限される傾向にあると思われる.また近年頭蓋底外科領域で顔面骨切りなどの手術手技が発達し,前頭蓋底や斜台の領域に対してtransbasal approachやtransoralapproachが施行されつつあるが,これらの手術術式においても蝶形骨洞や斜台上方部(いわゆるSphenoclival region)に対しての十分な術野の展開は容易ではないと考えられる.
当施設ではこれらのSphenoclivalregionに対して,顔面骨折にみられる十顎骨のLe Fort Iの骨切りを行い上顎骨を離断させた後,硬口蓋を下方へ移動させることにより生じる広い間隙から到達する手術術式をtrans LeFort I approachと命名し,計5例の肺瘍性病変に施行してきたが,他の手術術式に比較して広い術野を得ることができ,直視下での手術操作が容易なものであったため,代表的な症例を供覧するとともに文献的考察を加えて報告する.
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