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研究
小児モヤモヤ病の脳循環動態—過呼吸負荷SPECTによる検討
著者: 磯部正則1 黒田敏1 上山博康1 阿部弘1 三森研自2
所属機関: 1北海道大学脳神経外科 2北海道脳神経外科記念病院
ページ範囲:P.399 - P.407
文献購入ページに移動モヤモヤ病(厚生省特定疾患としての名称はウイリス動脈輪閉塞症)は,脳主幹動脈の閉塞性疾患で,脳虚血症状あるいはモヤモヤ血管(側副血行路)が原因の頭蓋内出血を来す.外科的治療法として,血行再建術が行われていることは周知の通りである.
この外科的血行得建術には様々な術式があるが1,9,11-15),今回はSTA-MCA anastomosisの有無により2つの群に分けて検討した.すなわちence—phalo-myo-synangiosis(EMS)11)あるいはence—phalo-duro-arteriosynangiosis(EDAS)13)などの間接的血行再建術を行った群と,STA-MCA anastomosisと他の間接的血行再建術を併せ行った9,15)群である.
われわれはこれまで,脳血管撮影,脳波,脳血流量(acetazolamide(Diamox)反応性)及びIQによる評価から,小児モヤモヤ病に対する術式として,STA-MCAanastomosisと他の間接的血行再建術を併せ行った方が,後者のみを行った場合に比して,治療結果が良好であることを報告している2-5,19).
今回は,過呼吸(hyperventilation,以下HV)負荷後のre-build up現象出現時期の脳循環動態を検討するため,血行再建術後の小児モヤモヤ病症例にHV負荷を行った.HV前後の局所脳血流量の変化を,Diamox反応性及びre-build up現象出現の有無などと比較するとともに,前述した術式別に検討したので,若干の考察を加えて報告する.
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