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症例
歩行により誘発される便失禁を呈した頸椎椎間板ヘルニアの1例—脊髄性間欠性直腸障害について
著者: 水野正喜1 花北順哉1 諏訪英行1 柴田修行1 名村尚武1 大塚俊之1
所属機関: 1静岡県立総合病院脳神経外科
ページ範囲:P.445 - P.449
文献購入ページに移動通常,何らかの脊柱管内空間占拠性病変による神経症状は,患者の姿勢や動作にかかわらず認めることが多いが,一方,姿勢の変化により症状が増強することもよく知られており,例えば,頸椎病変では,頸の過伸展や過屈曲により増強することは,しばしば遭遇するところである.また歩行動作により神経症状が誘発されることもあり,脊髄馬尾病変による神経原性間欠性跛行は,その代表的なものである.最近では,胸髄性,頸髄性病変による間欠性跛行の症例もいくつか発表されている.
われわれは,後縦靱帯骨化症(Ossification of Poste—rior Longitudinal Ligament,以下OPLL)に合併した頸椎椎間板ヘルニアの症例で,歩行により誘発される便失禁を呈し,前方除圧固定術により,間欠性直腸障害の消失を確認できた1例を経験した.頸髄病変により,間欠性直腸障害を呈した症例は,われわれの調べ得た限りでは今までに報告されていない.この特異な症例につき報告し,頸髄病変による間欠性直腸障害の機序につき検討した.
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