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文献概要
総説
神経心理テスト
著者: 武田克彦1
所属機関: 1東京大学神経内科
ページ範囲:P.533 - P.539
文献購入ページに移動I.はじめに
1.神経心理テストとは
この総説では紙面の都合があり,すべての神経心理テストを網羅的に取り上げることはできない.いくつかのテストにしぼって説明することにする.今回取り上げることができなかった他の神経心理テストについて詳しくお知りになりたい方は,Lezak15)の本を参照していただければさいわいである.
ここで取り上げたテストは,それぞれのテストの信頼性と妥当性が高いと考えられている.テストの信頼性とは,そのテストを時期や状況を変えて実施したときに,どの程度の誤差が生じるかということを示す指標と言える26).妥当性とは目標としている精神現象の一側面をそのテストの内容が適切に代表しているかということである.神経心理のテストの場合は,一般にテストが目標としている能力がきわめて明確であるわけではないので,神経心理テストの点数などに過大な評価を与えることはできないことをあらかじめのべておきたい.いままでの議論から,例えばただ一つのテストで器質的な障害と機能的な障害をわけることができないことや,あるテストさえすれば神経心理学的な症候群をすべて網羅的にチェックすることができないことがおわかりになるであろう.
1.神経心理テストとは
この総説では紙面の都合があり,すべての神経心理テストを網羅的に取り上げることはできない.いくつかのテストにしぼって説明することにする.今回取り上げることができなかった他の神経心理テストについて詳しくお知りになりたい方は,Lezak15)の本を参照していただければさいわいである.
ここで取り上げたテストは,それぞれのテストの信頼性と妥当性が高いと考えられている.テストの信頼性とは,そのテストを時期や状況を変えて実施したときに,どの程度の誤差が生じるかということを示す指標と言える26).妥当性とは目標としている精神現象の一側面をそのテストの内容が適切に代表しているかということである.神経心理のテストの場合は,一般にテストが目標としている能力がきわめて明確であるわけではないので,神経心理テストの点数などに過大な評価を与えることはできないことをあらかじめのべておきたい.いままでの議論から,例えばただ一つのテストで器質的な障害と機能的な障害をわけることができないことや,あるテストさえすれば神経心理学的な症候群をすべて網羅的にチェックすることができないことがおわかりになるであろう.
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