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研究
悪性グリオーマに対するインターフェロン遺伝子療法の開発
著者: 水野正明1 吉田純1 杉田虔一郎1 林豊2 八木國夫2
所属機関: 1名古屋大学脳神経外科 2応用生化学研究所
ページ範囲:P.547 - P.551
文献購入ページに移動ヒトβ型インターフェロン(HulFN—β)は分子量20,000,166個のアミノ酸よりなるタンパク質14)で,抗ウイルス作用のほか,抗腫瘍作用3),免疫賦活作用3,12)を始めとする多面的生理活性を示すことが報告されており,主として線維芽細胞より産生されるサイトカインである.このHulFN—βはヒトグリオーマ細胞に対し,100-1000IU/ml濃度でcytostaticあるいはcytocidalに働くことが確認されており19),臨床的にも悪性グリオーマ患者に対し抗腫瘍剤として用いられている.通常100−300×104IUのHuIFN—βを連日点滴静注する方法が行われており,その有効性が確認されている.しかしながら,その有効率は10-30%と必ずしも満足できるものではない17,18)一方HuIFN—βはヒトグリオーマ細胞内で産生され,自らの増殖を抑制している司1能性が示唆されている8).そこでわれわれはHuIFN-β遺伝子を特殊な脂質組成を持つリボソームに包埋し,ヒトグリオーマ細胞に遺伝了.導人し内因性HuIFN-βをヒトグリオーマ細胞自身より大量に産生させ死滅させるというインターフェロン遺伝子療法の基礎的研究を行い,その結果をすでに報告している11).そこで今回はさらに効率よく遺伝子導入を行うために,遺伝子導人の際の担体となるリポソームの脂質組成を変化させ,ヒトグリオーマ細胞に好する遺伝子導人効率やリボソームの細胞障害性の違いについて検討した.
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