icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科20巻6号

1992年06月発行

文献概要

脳腫瘍の組織診断アトラス

(22)Arachnoid Cyst and Rathke's Cleft Cyst

著者: 岩崎康夫1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター脳神経外科

ページ範囲:P.625 - P.634

文献購入ページに移動
I.クモ膜嚢胞Arachnoid Cyst
1.臨床的特徴
 クモ膜に覆われた,髄液を内に含む良性非腫瘍性嚢胞である.クモ膜下槽に好発し,中頭蓋窩(Sylvius裂),大槽部,大脳円蓋部,鞍上部,小脳橋角,四丘体槽などに多く見られるが,脳室内などクモ膜が存在しない部位にも報告がある14,20)
 臨床症候を呈する例では,頭痛,痙攣,頭蓋変形などが多く見られるが,無症状のものも多い.本症を最初に報告したのはBright(1831)2,15)といわれるが,最近の画像診断の進歩につれて,無症状のものが発見される頻度が増しており,人口の1%程度にCT上クモ膜嚢胞が見出されるという25).症候を呈するものは小児に多く,無症状のクモ膜嚢胞の発見率も年齢が低いほど高いことから,多くのクモ膜嚢胞は加齢に連れて自然消失すると考えられ,実際に経過観察中の自然消失例も報告されている1,7,26).しかし,急速に増大を認めた例10)や,増大・縮小の見られた報告21)もあり,本症のnatural historyは未だに不明な点が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら