文献詳細
文献概要
症例
斜台部脊索腫の1幼児例—症例および文献的考察
著者: 稲垣裕敬1 阿武雄一1 堀智勝1 大浜栄作2
所属機関: 1鳥取大学脳神経外科 2烏取大学脳神経病理
ページ範囲:P.809 - P.813
文献購入ページに移動胎生初期に原始的骨格軸をなす脊索は胎生5週頃よりその周囲を中胚葉組織に囲まれ,この中胚葉組織が軟骨を経て骨化され椎体,仙尾骨,頭蓋底を形成する.脊索の遺残は椎問板髄核として普通に見られるが時に頭蓋底,仙尾骨部などに遺残し8),このうち斜台部の脊索の遺残はecchondrosis physaliphora sphenoocciloitalisと呼ばれ,剖検では約2.0%の頻度で認められ4),斜台部脊索腫はこれより発生するとされている.
このように脊索腫は胎生期遺残紺織由来の腫瘍でありながら15歳以下の小児期発生例は極めて稀であり,5歳以下の幼児例の報告は文献上われわれが渉猟し得た限りでは11例の報告を見るに過ぎない2,12,13).今回われわれは幼児頭蓋内脊索腫の1例を経験し,MRIを中心とした画像診断および電顕的検索など十分になし得たので症例を報告するとともに小児脊索腫例について文献的考察を加える.
掲載誌情報