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臨床研究とBasic Scienceの調和
著者: 榊三郎1
所属機関: 1愛媛大学脳神経外科
ページ範囲:P.833 - P.834
文献購入ページに移動ここ,十数年間の分子遺伝学,分子生物学の輝かしい進歩により,神経科学における研究も方法論的にも,また,その方向性も様変わりしてきたように感ずる.神経単位における微量の蛋白質が同定でき,また,遺伝子そのものを単離し,遺伝子DNAの塩基配列を決定するところまでになってきた.それをもとに,異なる細胞集団から成りながら,多岐にわたる脳の機能を解明しようという試みがなされてきている.つまり,比較的具現化した病態ないし病変を解析し,理解した上で,それに合った治療法を導き出すという臨床研究に対して,その病態が起こって来る由来を解明し,分子レベルにおいて隠された本質に迫ろうとするbasic scienceが急速に進歩してきたわけである.来世紀に向けての神経科学の進歩を大いに期待したいところであるが,現在,果たして,この両者がうまく調和しているだろうか.
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