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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科20巻8号

1992年08月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

頸椎症に対する前方側方合併到達法—Trans-unco-discal approach(TUD法)

著者: 岸廣成1 白馬明2

所属機関: 1大阪市城北市民病院脳神経外科 2大阪市立大学脳神経外科

ページ範囲:P.843 - P.848

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I.はじめに
 頸椎症に対する外科的治療法としては,椎弓切除術に代表される後方進入法と,前方より椎間板を摘出し,椎体の固定を行う前方進入法とがある.手術にあたっては,症状の発現機序を考慮して進入法が決定されるが,症状の発現には多くの因子が複雑に関与しており,その選択に苦慮することもある.頸椎症における症状の発現機序については,椎間板の退行性変化に伴い椎体辺縁に形成された骨棘,肥厚した靱帯,脱出した髄核などによって脊髄,神経根,椎骨動脈などが圧迫される直接の圧迫因子がある.また,胸腰椎と比べて可動性の大きい頸椎の部分では,頸部運動によって圧迫が増強すると言う動的因子も考えられる6,12,14).また脊椎管前後径が通常より短い場合(developmental stenosis)には,軽度の髄核の脱出や辷り症でも脊髄の圧迫がおこるため,脊椎管前後径も頸椎症を発現する大きな因子となっている3,5,16).一方脊髄の血行については,前脊髄動脈から中心動脈を介して頸髄の前2/3を養っており,脱出した髄核や骨棘によって前脊髄動脈や椎間孔部で,神経根の腹側を走行する前根動脈が圧迫されると血行障害がおこると言う虚血に関する因子もある4,10,11,15)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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