Neurological Surgery 脳神経外科20巻9号

1992年09月発行

症例

脳に著明な多発性腫瘍塞栓を認めた中咽頭癌脳転移の1例

著者： 北岡憲一¹³ 竹田誠¹ 蝶野吉美² 長嶋和郎²

所属機関： ¹美唄労災病院脳神経外科 ²北海道大学医学部第二病理学 ³東小樽病院脳神経外科

ページ範囲：P.997 - P.1001

I．はじめに
　悪性腫瘍の腫瘍塞栓子（以後tumor emboli）の存在は，よく知られた事実であるが^2.12.14），臨床上，tumoremboliを原因とする脳血管障害，胆の脳転移の報告例は少ない^4）．今回，われわれは，原発癌の照射後，突然の多彩な脳神経症状で発症した中咽頭癌の脳転移で，剖検にて原発癌に山来する多発性腫瘍塞栓を脳血管内に認めた症例を経験したので報告する．