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研究
Glasgow Coma Scaleによる破裂脳動脈瘤の術前評価—急性期手術例における6カ月転帰との対応
著者: 後藤修14 田村晃1 安井信之2 仁瓶博史3 間中信也3 鈴木明文2 波出石弘2 岡秀宗1 辻田喜比古1 佐野圭司1
所属機関: 1帝京大学脳神経外科 2秋田県立脳血管研究センター脳神経外科 3帝京大学市原病院脳神経外科 4東芝中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.37 - P.43
文献購入ページに移動破裂脳動脈瘤の治療成績は急性期の重症度に大きく影響されることから,予後の推定や治療方針の決定のために,様々な重症度分類が考案され使用されてきた1,3,4,10).しかしHunt and Hess分類をはじめとする従来の分類法では,重症度の中核をなす意識障害を評価する方法が不明瞭で,観察者間の不一致が指摘されている7,8).この検者間,施設問による不一致をなくし,より客観的な基準で重症度を評価することを目的として,国際脳神経外科学会連合(WFNS)の委員会は数値による意識障害評価法であるGlasgow Coma Scale6,14)(GCS)に基づいた重症度分類法13)を提唱した.この方式ではHunt分類を基礎において,GC値15と14,13と12,そして7と6とを境界線として重症度を分けている.しかしこのような境界線を設定した根拠は明らかでなく,これが最適であるとの確たるデータもない.重症度分類が予後を推定するためのものであるならば,治療成績を推計学的に解析し,どこを境界として分類するのが適切であるのかを検討しなければならない.この考えに沿い,本研究では破裂脳動脈瘤に対して急性期手術を施行した610例を対象として,術前のGCSによる評価が術後転帰にどのように反映されるかについて検討した.
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