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症例
人工塞栓術にて閉塞し得た中脳四丘体部脳動静脈奇形の1例
著者: 中原一郎12 半田肇1 西川方夫1 山川弘保1 稲川正一1 小出智朗1 滝和郎2 岩田博夫3
所属機関: 1浜松労災病院脳神経外科 2京都大学脳神経外科 3国立循環器病センター研究所実験治療開発部
ページ範囲:P.67 - P.72
文献購入ページに移動脳血管病変に対する人工塞栓術は,脳血管内手術の発達により,近年著しい進歩を遂げている.なかでも,脳動静脈奇形に対する人工塞栓術は,マイクロカテーテルを用いた超選択的なカテーテル誘導によるnidus直近へのアプローチが可能となり2,4,13,14),また,塞栓物質の進歩,殊に,液体塞栓物質Ethylene vinyl alcohol copo—lymer(EVAL)の開発12)によって安全かつ効果的なnidus embolizationが行えるようになり,本疾患の治療に不可欠のものとなりつつある.しかし,人工塞栓術のみによる脳動静脈奇形の閉塞はいまだ容易とは言えず,術前処置としてあるいは手術不能例の次善の処置として行われる場合が多い.最近,われわれは,EVAL及びPolyvinyl alcohol(PVA)particleによる人工塞栓術にて閉塞し得た中脳四丘体部脳動静脈奇形の1例を経験したので,本法の適応,塞栓手技,塞栓物質の選択等につき考察を加えて報告する.
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