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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科21巻10号

1993年10月発行

文献概要

連載 脳循環代謝・10

脳循環とNitric Oxide(NO)

著者: 田中耕太郎1 福内靖男1

所属機関: 1慶応義塾大学神経内科

ページ範囲:P.867 - P.873

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I.はじめに
 脳循環の主要な調節機序として従来,化学的調節,神経性調節,自動調節が挙げられてきた17).しかし近年,血管内皮を介する調節機序の存在が注目されるようになり,特にNitric Oxide(NO)と上記の各調節機序との関係が精力的に研究されつつある.すなわちFurchgottらによるEDRF(endothelium-derived relaxing factor)の発見,その後のEDRFがNOないしNO近縁物質であるとの報告により,血管内皮に脳血管調節の主要な場を求めて研究者の注目が集まった8).更にNO合成酵素が脳血管内皮に加えて脳血管に分布している神経線維などにも同定されるに及び,NOが単に内皮由来の拡張物質である以外に,神経伝達物質としてより広い生理学的役割を担っている可能性が示唆されるようになってきた8,24).これら一連の研究の進歩は,脳循環を研究する者にとって,どれも大いに興奮させるものであった.本稿では,国際誌に発炎された報告をもとに,NOの脳循環調節における役割につき現在までの知見を概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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