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症例
大脳鎌に転移を認めた胸腺癌の1例
著者: 山村一仁1 久保長生1 青木伸夫1 加川瑞夫1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.921 - P.924
文献購入ページに移動原発性胸腺癌は稀な腫瘍であり,その頭蓋内転移はさらに稀である.本疾患の分類,悪性度の判定1,4,5,12,20)についてはなお論議のあるところであるが,Rosai & Levine15),下里18,19)らによって胸腺癌の概念が再検討され,近年,胸部外科領域においてその報告は増加しつつある.従来胸腺腫あるいは悪性胸腺腫として報告された症例の中に,現在であれば胸腺癌と診断されるものが含まれている可能性が示唆されている.胸腺腫瘍の頭蓋内転移については現在のところ,胸腺癌が6例16),悪性胸腺腫が26例3,8-10,13,17,23,24),カルチノイド21)が1例の33例が報告されているにすぎない.今回われわれは縦隔腫瘍摘出後,組織診断にて胸腺癌と診断され,その後,頭蓋内,大脳鎌への転移を認めた1例を経験した.胸腺腫瘍の概念の変遷と共に若干の文献的考察を加えこれを報告する.
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