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総説
びまん性脳損傷—その臨床病理学的概念と分類
著者: 重森稔1
所属機関: 1久留米大学脳神経外科
ページ範囲:P.973 - P.980
文献購入ページに移動I.はじめに
臨床的に,外傷性脳損傷をびまん性および局所性脳損傷(Diffuse and focal brain injuries, DBI and FBI)に2大別する考え方が普及して,既に10年余が経過している7,13).この間,びまん性軸索損傷(diffuse axonalinjury, DAI)という病理学的概念1-3,6,14)が臨床にも取り入れられ5,15,16),最近では“DAI”という用語が臨床診断名ないし疾患名としても使用される傾向にある31).一方,CTやMRIなどの画像診断法の進歩に伴い,DBI症例の画像所見の解析についても多くの報告がみられる9,10,22,23,29,44,48).その結果,いくつかのDBIの臨床的分類が提唱されている5,13,15,16,22,24),しかしこのようなDBIの諸分類は,それぞれの発想の原点や分類の目的が異なっている.しかも,実際のDBI症例が示す頭蓋内損傷や臨床所見,さらにそれらの経過や転帰は極めて多彩である9,13,21,22,39,40).従って,DAIとDBIとの関係を含めDBIの取り扱い方に臨床上混乱を生じていることも否めない31).
DBIに関しては既に多くの優れた解説があるが21,29,30,46),本稿ではDBIの基本的損傷と考えられているDAIの臨床病理学的概念を整理し,DBIの臨床分類を中心に概説したい.
臨床的に,外傷性脳損傷をびまん性および局所性脳損傷(Diffuse and focal brain injuries, DBI and FBI)に2大別する考え方が普及して,既に10年余が経過している7,13).この間,びまん性軸索損傷(diffuse axonalinjury, DAI)という病理学的概念1-3,6,14)が臨床にも取り入れられ5,15,16),最近では“DAI”という用語が臨床診断名ないし疾患名としても使用される傾向にある31).一方,CTやMRIなどの画像診断法の進歩に伴い,DBI症例の画像所見の解析についても多くの報告がみられる9,10,22,23,29,44,48).その結果,いくつかのDBIの臨床的分類が提唱されている5,13,15,16,22,24),しかしこのようなDBIの諸分類は,それぞれの発想の原点や分類の目的が異なっている.しかも,実際のDBI症例が示す頭蓋内損傷や臨床所見,さらにそれらの経過や転帰は極めて多彩である9,13,21,22,39,40).従って,DAIとDBIとの関係を含めDBIの取り扱い方に臨床上混乱を生じていることも否めない31).
DBIに関しては既に多くの優れた解説があるが21,29,30,46),本稿ではDBIの基本的損傷と考えられているDAIの臨床病理学的概念を整理し,DBIの臨床分類を中心に概説したい.
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