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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科21巻12号

1993年12月発行

文献概要

連載 脳循環代謝・11

超音波ドプラ法と脳循環(代謝)

著者: 古幡博1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学医用エンジニアリング研究室

ページ範囲:P.1075 - P.1080

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I.はじめに
 経頭蓋骨超音波ドプラ法(Transcranial Doppler:TCD)の登場によって,頭蓋内主要血管の実時間血流情報が全く無侵襲的にかつ繰り返し容易に測定可能となった1).更に経頭蓋骨超音波カラー・ドプラ法(Transcra—nial Color Flow Imaging:TGCFI)も活用され,標的血管の同定を容易にし,定量性の高い血流速度計測が可能となった2,3,4).現在測定可能な血管は両側の前,中,後大脳動脈主幹部及び前・後交通動脈,両側椎骨動脈,脳底動脈,左右上垂体静脈,横静脈洞等である.TC—CFIでは更に中,後大動脈の分岐,椎骨・脳底動脈の分岐血流の計測も可能である.
 得られる血流情報は血流ドプラ・ソナグラムで,その最高,最低,平均流速及び波形の各種Pulsatility Index(PI)である.これら脳循環情報が細胞レベルの脳代謝をどの程度反映するものかどうかは明確でない.言うまでもなく,N2O法,RI,rCBF等の手法によって得られる血流情報についても同様の疑問が多少ともあり,循環と代謝の関係を関連づける数多くの研究がなされ,相関性は高いとされている.恐らく,TCDあるいはTC.CFIによる実時間血流情報も代謝と関連深いと考えられるが,未だPET等との直接比較を行っている報告は筆者の知る限りない.しかし,超音波法によっても代謝に関連する極めて興味深い循環情報が得られているので,そのいくつかをここに紹介する.なお,経頭蓋骨超音波ドプラ法それ自体についてもあるいはなじみがないかもしれないので,まず最初その手法について紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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