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医惟在活物窮理
著者: 駒井則彦1
所属機関: 1和歌山県立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.109 - P.110
文献購入ページに移動若き日の京都遊学中,中国の名外科医「華佗」を憧憬崇拝し目標としていた.華佗は中国の三国時代(220-280)の名外科医で,「魏志」によれば蔓陀羅華を主薬とした麻酔剤「麻沸散」を用いて多くの切開手術を行っていたようである.蜀の国の名将であった関羽も彼の手術をうけたという.華佗は魏の曹操の診察を頼まれ,脳膿瘍(?)で開頭術が必要であると診断し,逆に疑惑をうけ投獄され結局獄死したのである.残念ながら華佗の医術や処方に関する貴重な記録は後難を恐れて焼却され,わずかに魏志に記載されているのみである.1700年前既に脳膿瘍の診断が出来たとすれば非凡な脳外科医である.現在でも画像診断の助け無しに脳膿瘍を診断出来る医師がどれほどいるであろうか.
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