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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科21巻2号

1993年02月発行

文献概要

研究

頭部外傷における二次性神経損傷の原因と治療—劇症型talk and deteriorate症例の検討から

著者: 山上岩男1 山浦晶1 礒部勝見2

所属機関: 1千葉大学脳神経外科 2君津中央病院脳神経外科

ページ範囲:P.129 - P.133

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I.はじめに
 Langfittらは,外傷性脳損傷のメカニズムとして,direct mechanical injury of axon(diffuse axonal injury),brain ischemia and brain swelling, hemorrhage, edema,neurotransmitter failure,“toxic”substancesの6つをあげている6).これらの6つのメカニズムのうち,directmechanical injury of axonは,外傷そのものにより外傷と同時に発生する一次性神経損傷であるが,他の5つのメカニズムは,外傷後,時間の経過とともに現れる二次性変化であり,これらによりもたらされる脳損傷は,二次性神経損傷と考えられる.つまり,頭部外傷に伴い発生する神経損傷は,一次性神経損傷と二次性神経損傷に大別される.
 頭部外傷急性期における治療の主眼は,二次性神経損傷の予防と治療に向けられなければならないが,各々の症例において,二次性神経損傷の原因と適切な治療法を,明確にすることは容易ではない.特に,重症頭部外傷においては,多くの場合,一次性および二次性神経損傷が混在し,両者を区別することは難しい.しかし,いわゆるtalk and deteriorate(T & D)においては,一次性神経損傷は軽度で,二次性神経損傷がその病態のほとんどを占めており,症例の転帰も二次性神経損傷により左右されている9,12-15).T & Dは,外傷性の二次性神経損傷を臨床的に検討する上で,格好の対象と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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