icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科21巻3号

1993年03月発行

文献概要

研究

破裂脳動脈瘤早期手術後の血管攣縮と6カ月転帰—Glasgow Coma Scaleによる術前重症度との関連

著者: 後藤修13 田村晃1 仁瓶博史2 間中信也2 桐野高明1 佐野圭司1

所属機関: 1帝京大学脳神経外科 2帝京大学市原病院脳神経外科 3東芝中央病院脳神経外科

ページ範囲:P.221 - P.226

文献購入ページに移動
I.はじめに
 破裂脳動脈瘤の手術時期は手術手技の発達した今日においても猶議論の的であるが,最近の全世界的な傾向として,従来より日本を中心として主張されてきた早期手術の意義を見直す気運にある2,10,11,16,17,22).その背景には,早期手術により再出血が防止できるだけでなく,脳血管攣縮に対する積極的な治療が容易になり手術成績が向上するとの考えがある2,10,11).しかし1980年代前半に行われた国際共同研究の結果では,早期手術においても血管攣縮が依然として手術成績を左右する重大な要因であることが示されている13)
 血管攣縮の発生を出血の急性期に予知して早期手術の適応を決める手段として,現在まで臨床重症度とCT所見が主として検討されてきた.このうちHuntらの分類に代表される臨床重症度は早期手術後の攣縮発生や予後との関連が少なく,この点ではむしろCT所見の方が有用であるとの報告が多い1,5-7).しかし従来の臨床重症度分類の根本的な問題点として,重症度の中核をなす意識障害の表現が不明確で,検者による評価の不一致が大きいことが指摘されている14,15).この検者間の不一致を少なくしてより客観的に重症度を評価する目的で,国際脳神経外科学会連合(WFNS)の委員会では,数値による意識障害評価法であるGlasgow Coma Scale9)(GCS)に基づいた分類法を提唱している23).本研究では最近9年間の早期手術例において,術後の血管攣縮発生とその転帰を解析し,これらがGCSに基づく術前臨床重症度とどのような関連を有するかについて検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら