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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科21巻5号

1993年05月発行

文献概要

連載 脳循環代謝・5

Gliomaの循環代謝—Positron Emission Tomographyによる検討

著者: 白根礼造1 吉本高志1

所属機関: 1東北大学脳研脳神経外科

ページ範囲:P.389 - P.394

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I.緒言
 PETは体内に投与された放射性薬剤の動態を体外から計測し,3次元的に定量的に分析できる装置で,中枢神経では生体脳の活動をイメージとして捉えることのできる数少ない方法論の一つである.日本では1978年以来PETが稼働しているが,現在ではセンターは17箇所となっている.PETによる脳腫瘍の研究は1978年に18F−2—deoxyglucose(FDG)が,Ido等8によって開発され人間の脳のブドウ糖代謝が検討されるようになり20),米国のNIHで臨床応用が始まった.現在日本では脳腫瘍の検査件数は1カ月あたり約30件である.PETで得られる画像は用いる放射性薬剤の動態に依存しており,検査の目的に即した薬剤の開発が必要となる.また各患者毎に標識薬剤を合成しなければならず,合成の際にchemistの被曝量を最小限とし,しかも頻回に合成できなければならない.標識薬剤は以下の条件を可及的に満たす必要がある.(1)毒性が少なく合成が短時間内に行える.(2)脳血液関門を通過する.(3)投予後,短時間の内に高い,標識組織/周辺組織比が得られる.(4)PETによって得られた画像に基づいて定量的解析が可能であること,つまり測定データの解析にはコンパートメントモデルが用いられるが,コンパートメントは薬剤が均一に分布する空間で,その数が多くなれば解析も困難となる.そこでコンパートメント数が少ない動態を示す事が必要となる.実際の脳腫瘍の研究において理想的な放射性薬剤はまだ存在していないが,以下にこれまでに報告された脳腫瘍の循環代謝に関する研究について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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