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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科21巻6号

1993年06月発行

文献概要

研究

脳虚血再開通後に見られる遅発性の脳血管機能障害

著者: 松本正人1 山形専2 南川順2 橋本研二2 菊池晴彦2 児玉南海雄1

所属機関: 1福島県立医科大学脳神経外科 2京都大学脳神経外科

ページ範囲:P.503 - P.508

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I.はじめに
 脳虚血再開通後の病態は,虚血の程度すなわち脳血流量の低下の程度と虚血の持続時間とによって決定され,経時的に変化してゆく6,8).この脳虚血再開通後の病態については様々な側面から研究がなされてきたが,そのほとんどは神経細胞についてであり4),神経細胞をとりまく周辺の環境,すなわち神経膠細胞,脳血管細胞,さらに間質系などの変化については十分な検討がなされていない.
 これまでわれわれは脳表の直接的電気刺激によって誘発されるDirect Cortical Response(以下DCR)2,3,9)消失15分間の脳虚血再開通後に脳機能が一度回復したように見えても8-24時間の間に再び悪化する現象,すなわち遅発性神経機能障害が存在することをとらえ,脳虚血からの神経機能の回復の可能性を検討する場合には再開通後長時間にわたる観察が必要であると報告してきた11).また,遅発性神経機能障害の発生と同時あるいはそれ以降の14-30時間の間に頭蓋内圧の上昇がみられ,周囲環境の病的変化によっても神経細胞の障害が引き起こされる可能性があることを示した11).そこで今回われわれは周囲環境の中でも脳血管に着目し,その機能が脳虚血再開通後にどのような変化をするのか,再開通後長時間にわたる観察を行った.また,前回報告した遅発性神経機能障害やそれと同時あるいは先行する頭蓋内圧上昇と関連性を有しているのかについても検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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