Neurological Surgery 脳神経外科21巻8号

1993年08月発行

症例

髄膜腫摘出術後に遅発性血管攣縮を呈した1例

著者： 白坂有利¹ 忍頂寺紀彰¹ 植村研一¹ 篠原義賢² 桑原孝之² 山崎健司²

所属機関： ¹浜松医科大学脳神経外科 ²藤枝市立志太総合病院脳神経外科

ページ範囲：P.745 - P.749

I．はじめに
　髄膜腫摘出術後における合併症の中で，術中にクモ膜下出血をきたさなかった場合においては，遅発性血管攣縮によって脳梗塞を発症する症例は稀であり，われわれが渉猟し得た限りにおいては認められない．今回われわれは，蝶形骨縁髄膜腫の摘出術後に脳梗塞をきたし，脳血管撮影所見からその発症機序に遅発性血管攣縮が関与したと考えた1例を経験したので，症例を紹介するとともに，血管攣縮の発現機序について文献的考察を試みたので報告する．