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研究
MR血管造影法(MRA)を用いたEC/ICバイパス術後の脳血流動態の評価—Presaturation Pulseによる血流方向性の解析
著者: 青樹毅1 宝金清博1 上山博康1 岩崎喜信1 阿部弘1 小岩光行2 川口進2 柏葉武2
所属機関: 1北海道大学脳神経外科 2柏葉脳神経外科病院
ページ範囲:P.793 - P.798
文献購入ページに移動近年急速な発展を遂げるMR血管造影法(MRangiography;MRA)は,画質の向上と撮像・計算処理時間の短縮により,非侵襲的な脳血管検査法として定着しつつある1-4).しかしながら,MRA画像は血液の「流れ」を画像化したものであり,X線血管撮影のように造影剤の充愼による血管内腔の形態そのものの描出とは若干異なることになる.MRAの画像情報としての利点の一つに,MRAの血流信号には血流様式や速度情報も含まれており,圧注入によるX線血管撮影とは異なり,生理的条件下での血流情報が得られる可能性を持っていることがあげられる5,9).反面,MRA画像はstatic im—ageであるため血流の方向性の評価は通常困難であり,臨床上その評価が問題となる症例も少なくない.そのため血流の方向性を同定する種々の手法が試みられているが,presaturation pulse sequenceを用いて血流を標識する方法6)が簡便法の1つである.
今回,閉塞性血管障害に対するextracranial-intracra-nial arterial bypass(EC/ICバイパス)術施行例につき,通常のMRAを用いてバイパスのpatencyを評価し,さらにはpresaturation pulseを付加したMRAを施行し,頭蓋内血管の血流の方向性の同定を試み,またバイパスを介する血流の潅流域の同定からバイパスの機能評価における有用性について検討した.
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