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研究
Interhemispheric Approachにおける静脈温存と脳圧排軽減のための工夫—前交通動脈瘤例における検討
著者: 黒川泰任1 上出廷治1 本田修1 加藤孝顕1 鰐渕昌彦1 本望修2 端和夫2
所属機関: 1市立釧路総合病院脳神経外科 2札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.29 - P.34
文献購入ページに移動前交通動脈瘤(Acom)に対するInterhemispheric approachは,pterional approachと並んで標準的なアプローチであり,高位で後方向きや大脳間裂に大きな血腫がある場合,クモ膜下腔の血腫除去を広範囲に行う際などで広い視野が得られる特徴がある.しかし,時に前頭葉のbridging veinの切断や,interdigitationの強い大脳間裂を分けて前頭葉を圧排する際に,静脈還流障害による脳内血腫や脳挫傷が生じる場合が少なくない.こうした合併症の発生を予防するために,われわれは,両側前頭小開頭後,大脳鎌をその最前端で工夫して切断し,前頭葉が後方へ落ち込むことを利用して,bridging veinを可及的に温存すること,また前頭葉の最前端部のみで大脳間裂を分けて前頭蓋底にそってアプローチし,半球間裂の圧排を少なくすることを試みた.
これらの症例の手術前後の臨床症状,血管撮影上の静脈還流のパターンおよび術後のcomputed tomography(CT)所見と手術所見を対比して検討した.
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