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研究
Cisplatin(CDDP)の血清・髄液中動態—Etoposide(VP−16)とCisplatinを併用した悪性神経膠腫に対する選択的動注療法と転移性脳腫瘍における静・動注療法との比較
著者: 中川秀光1 宮脇陽二1 時吉浩司1 鶴薗浩一郎1 山田正信1 金山拓司1 早川徹2
所属機関: 1大阪府立成人病センター脳神経外科 2大阪大学脳神経外科
ページ範囲:P.35 - P.42
文献購入ページに移動悪性脳腫瘍に対する化学療法については,抗癌剤の癌細胞に対する感受性,腫瘍領域での分布なども臨床的効果を左右する因子であり,cisplatinについてもその中枢神経における分布が報告されている18,22).これらの分布以外に髄液への移行は,髄腔内播種を示す悪性腫瘍細胞に対しても,またcisplatin投与による痙攣発作18,24)などの中枢神経に対する副作用の観点からも重要であり,投与経路として静注法では,正常動物を用いた実験11)や,あるいは1例のglioblastoma1),neuroblastoma5)や再発ependymomaの小児例6),大量の放射線照射後のprimary germcell tumor9)などからの臨床報告があるが,まとまった臨床報告はない.またcisplatin7,14,17)やetoposide8,21)の動注経験が報告され,それぞれの副作用・安全性について論じられており,最近ではMadajewiczら16)のetoposideとcisplatinの併用動注の効果,toxicityについて報告されているが,やはり髄液への移行はまだ報告を見ない.今回私たちは現在施行している悪性神経膠腫に対するetoposideとcisplatin併用によるマイクロカテーテルを使用した超選択的動注療法19)の治療時における血清,髄液濃度を調べ,platinum(以下Ptと記す)の動態を調べるとともに転移性脳腫瘍におけるcisplatin療法での静注あるいは頸動脈動注例の髄液移行と比較検討した.
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