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症例
Trappingが有効であったHangman's Fractureに伴う椎骨動静脈瘻
著者: 奥地一夫1 藤岡政行1 小延俊文1 藤川朗1 宮本誠司1 森本哲也2 榊寿右2 田岡俊昭3 中川裕之3 岩崎聖3
所属機関: 1奈良県立医科大学救急医学 2奈良県立医科大学脳神経外科 3奈良県立医科大学放射線科
ページ範囲:P.55 - P.59
文献購入ページに移動全ての脊椎骨折のうち約25%が上位頸椎(C1—C3)に関連して発生するとされ15),さらにこの部位には環椎,軸椎といった解剖学的に特殊な骨が存在するため特徴的な骨折が生ずる.前方亜脱臼を伴う軸椎の椎弓根部骨折は絞首刑によって発生するものと類似していることからhangman's fractureと呼ばれ,全脊椎骨折の4-7%を占めると報告されている10,15).
また,椎骨動静脈瘻は現在まで約100例の報告がなされ1-9,12,13,17),その多くは穿通性損傷を原因としており,hangman's fractureのような鈍的外傷に伴って生じたとする報告は稀である.最近,われわれは環椎骨折および軸椎脱臼骨折にともなう椎骨動静脈瘻を経験し,外科的にtrappingを行い良好な結果を得たので,診断および治療上の問題点を中心に考察を加え報告する.
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