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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科22巻10号

1994年10月発行

文献概要

研究

近赤外光による脳虚血の評価—頸動脈血栓内膜摘除術中モニタリングから

著者: 山根冠児1 島健1 岡田芳和1 西田正博1 沖田進司1 畠山尚志1 吉田哲2

所属機関: 1中国労災病院脳神経外科 2中国労災病院救急部

ページ範囲:P.947 - P.953

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I.はじめに
 近年,頸部内頸動脈狭窄に対する血栓内膜摘除術(CEA)は外科的治療法として確立されてきている.その有効性に関してはco-operative studyで内頸動脈がsevere stenosisにおいては抗凝固剤を中心とした投薬による治療よりCEAの有効性が示され3,15),mild ste—nosisでは現在,有効性の検討が進行している.日本人の西欧型の食生活の普及により動脈硬化性病変の進行が早まり,今後,CEAを行う機会が増加すると見込まれる.しかし,CEAの有効性を示すためには,CEA後の合併症をできるだけ少なくする必要がある.そのためには技術的な改良,及び手技の熟達もさることながら,術中内頸動脈(ICA)の遮断による脳虚血障害を防ぐことが極めて重要であると思われる.つまり,Willis輪を介した側副血行が不良な症例では内頸動脈遮断により遮断側の脳虚血を引き起こす可能性がある22,23).最近,近赤外線分析装置(near infrared spectrophotometry,NIRS)が脳組織の酸素供給と脳血液量を非侵襲的にモニタリングする目的で使われている11).すでに小児科領域では,新生児期の低酸素による脳損傷を防ぐ目的で利用され,確立されつつある1,25,27).この特徴を利用し,内頸動脈遮断時の脳の側副血行を介した血流動態を評価できないかを検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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