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症例
脳腫瘍との鑑別が困難であった外傷性肉芽腫様病変の1症例
著者: 鰐渕昌彦1 上出廷治13 石黒雅敬1 帯刀光史1 黒川泰任1 吉田豊2
所属機関: 1市立釧路総合病院脳神経外科 2市立釧路総合病院病理 3札幌医科大学医学部附属病院脳神経外科
ページ範囲:P.963 - P.966
文献購入ページに移動外傷による脳挫傷の際には脱落した神経細胞に代わり反応性のグリオーシスが起こることが多い.しかし,挫滅が高度の場合には,グリア細胞自体も傷害され,これに代って血管外膜由来の間葉系組織が増生し,ミクログリアあるいは血管由来のマクロファージ,炎症細胞浸潤を伴い肉芽組織を形成し,最終的には瘢痕組織となることが知られている3).しかし,治癒過程のこうした肉芽組織が,炎症性あるいは異物性肉芽腫様に,周辺脳浮腫を伴った腫瘤を形成したとの報告はない.
今回,外傷による出血を混じた挫傷巣が,その治癒過程において周辺脳浮腫を伴い,肉芽組織からなる腫瘤を形成したと考えられる症例を経験し,脳腫瘍との鑑別に苦慮した.その放射線学的特徴とともに病理組織学的所見を報告する.
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