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脳神経外科歴史の旅
著者: 永井政勝1
所属機関: 1獨協医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1097 - P.1098
文献購入ページに移動1992年パリに寄った.パリ大学Sainte Anne病院神経病理のDaumat-Duport教授に予め医学史博物館はじめ医学史ゆかりの施設の見学を頼んでおいたところ,教室の若いドクターが車で案内してくれた.パリ大学周辺であまりにも多くの史跡を見せられて混乱してしまい,正直のところ未だにどこを案内されたかよく同定できないくらいで,まさしく医学史の宝庫である! Musee de l'Histoire de la Medecineがすばらしかったことは記憶に鮮明で,ここでは資料や絵葉書の入手も可能である.医学部の正門に多くの医学者の彫像が並ぶ中で中央にあるのは外科の父Ambrois Pareである.翌日Sainte Anne病院脳神経外科のChodkiewitz教授にご馳走になった時,脳神経外科の歴史をたどる時やはりPareに遡るのではないかとヘンリーⅡ世の事例(1559年フランス国王Henri Ⅱ世が決闘で右眼窩部から脳内に槍が穿通する外傷を負い感染で死亡した事件,Pareと解剖学の祖Vesaliusが呼ばれて治療した.JNS77:964-969,1992)を話題にした.ところが彼は,解剖学的検索のため罪人数人の首を刎ねたりするのは感心しないと言ってあまりPareを賞揚する気配ではなかったのは意外であった.日本人の感覚との違いであろうか.もっともJNSの記載では首を刎ねたのは女王カトリーヌの命令によるとされているが….Pareの生誕の地Ravalの町の記念博物館には彼が用いていたtrephineの手術器具が残っているそうであるが未だ訪ねる機会がない.
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