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研究
経上腕動脈選択的脳血管撮影法の有用性
著者: 川尻勝久1 松岡好美1 早崎浩司1 井上丈久2
所属機関: 1済生会茨木病院脳神経外科 2名古屋徳州会病院脳神経外科
ページ範囲:P.235 - P.239
文献購入ページに移動Seldinger12)の経大腿動脈選択的脳血管造影法の報告以来,脳血管撮影はこの方法が広く施行されているが,検査前の剃毛や検査後の安静臥床,さらにそのために排尿困難を訴えることもあり,患者にとってかなりの苦痛を伴う.また高齢者では大腿動脈から大動脈弓にかけて(特に腸骨動脈において)の屈曲,蛇行,狭窄や閉塞のためカテーテルが上行しにくく,さらに大動脈弓にカテーテルが上行してもbraciocephalic arteriesの起始部が大動脈弓から急峻な角度をなしているため11)カテーテルを選択的に挿入することが困難なこともしばしば経験される.われわれは平成2年度より経上腕動脈Seldinger法による,DSAではなく通常の脳血管撮影を行っている.最近では脳血管撮影のほぼ全例にこの方法を用いており,現在までに100例を越えたので,その方法の実際と臨床的有用性について報告する.
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