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解剖を中心とした脳神経手術手技
脊髄髄膜瘤の手術:Intentional Delayed Back Closure
著者: 森本一良1 若山暁1
所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター脳神経外科
ページ範囲:P.301 - P.307
文献購入ページに移動解剖を中心とした脳神経手術手技の本欄に,すでに脊椎破裂の手術と題した論文が1984年収載されている3).今回本表題を重載するにあたり,私たちの提唱するintentional delayed back closureならびに合併する水頭症への対応についての副題を与えられた.
時代の変遷とともに周産期医療において産科学と小児科学からくる制約を払拭した新生児科学が確立してきた2).折から産科領域に母体超音波画像診断機器の爆発的な普及があり,これによって出生前に胎児中枢神経系疾患が見出されるようになった.これら疾患のうち頭蓋内髄液貯留異常を呈した水頭症患児に,しばしば合併する脊髄髄膜瘤の対応に迫られるが,その外科的対応にあたって超未熟児脳室内出血後水頭症のため考案したminiature Ommaya's reservoirを用いて髄液を恒常的な流速で,持続的に排除すれば脊髄髄膜瘤からの髄液漏を制御できることを見出した11).
そこで私たちは従来出生後24時間はたまた48時間以内の緊急処置を要するとして取り扱われた本疾患は,患児が外界適応する1週間前後まで手術を意図的に待機出来ることを提唱してきた.本稿ではこれらを焦点に本疾患に対する外科的対応を述べる.
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