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研究
高齢者における特発性正常圧水頭症
著者: 石川正恒1 菊池晴彦2 平井収3
所属機関: 1京都大学医学部附属病院手術部 2京都大学脳神経外科 3神鋼病院脳神経外科
ページ範囲:P.309 - P.315
文献購入ページに移動わが国の急速な高齢者社会への進行とともに,老人の痴呆や歩行障害が重要な問題となっている.この高齢者の痴呆は脳血管性痴呆やアルツハイマー型老年性痴呆によることが多いが,時に痴呆様の精神活動の低下や歩行障害が髄液短絡術で改善する場合があり,このような例は特発性正常圧水頭症と呼ばれる.正常圧水頭症にはクモ膜下出血後や頭部外傷後にみられる続発性のものと原因不明の特発性のものとがあるが,続発性と異なり,特発性では他の痴呆疾患との鑑別が容易でなく,また,高齢者では髄液短絡術後に慢性硬膜下血腫等の合併症をきたす頻度も高いとされているので,より確実な鑑別法が望まれる.
われわれは,従来より持続腰部髄液圧測定法を用いて各種交通性水頭症の頭蓋内圧測定を行ってきたが,本稿では高齢者の特発性正常圧水頭症の鑑別における本法の有用性について検討した.
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