報告記
第10回国際脳腫瘍研究・治療カンファランス(The Tenth International Conference on Brain Tumor Research and Therapy)印象記
著者:
永井政勝1
所属機関:
1獨協医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.392 - P.393
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2年毎に開催されるこの会も第10回を迎えた.ヨーロッパで開かれるのは1989年のZermatt以来2度目で,今回はNorwayのStalheimという小邑で行われた.本来フィヨルド観光の基地となるホテルが断崖の上に建てられており,周辺は一望の岩山で(写真1),買い物の出来る町までバスで50分というところである.このホテルで1993年9月6日から9日まで文字どうり罐詰めとなり,60題の口演発表と約100題のポスター展示によっていつものこのカンファランスにおけると同様,hot discussionが繰り広げられたのである.参加者は全体で200人足らずで,日本からは阿部教授(北大),田渕教授(佐賀医大),松谷助教授(東大),久保助教授(女子医大),筆者の他は若手の研究者約10名の参加があり,若い方々の活躍ぶりが目立った.
第1日目は夕刻から始まり,最初のセッションは悪性脳腫瘍のepidemiologyであった.地元NorwayとSwedenからの報告で,大筋で他の欧米諸国や日本の統計とのへだたりはなかった.ただ,低周波電磁場の存在下での労働者に脳腫瘍発生の頻度が高い可能性があるという指摘が注目を引いた.