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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科22巻6号

1994年06月発行

文献概要

研究

転移性脳腫瘍の化学療法におけるコラーゲン・ゲル包埋培養法にコンピュータによる画像解析を用いた抗癌剤感受性試験の有用性

著者: 中川秀光1 小林昶運2 肥塚正博2 山田正信1 宮脇陽二1 時吉浩司1 金山拓司1 萩原靖1 鶴薗浩一郎1

所属機関: 1大阪府立成人病センター脳神経外科 2新田ゼラチン株式会社

ページ範囲:P.517 - P.523

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I.はじめに
 ヒト癌に対する抗癌剤による補助化学療法の効果の是非は,宿主,癌,抗癌剤の三者から構成される三角関係に依存しており,宿主が充分な抗癌剤治療に耐えうる体力を持っていること,抗癌剤そのものが高い抗腫瘍効果を持つこと,癌そのものが使用される抗癌剤に高い感受性をもっていることが良好な臨床上の抗腫瘍効果の発揮に結び付き,どれか一つでも満たされない場合は,満足できる結果が得られない.よって癌に高い感受性のある抗癌剤を,宿主の抵抗力,免疫力を下げないようにできるだけ少ない量で効果を発揮するのが基本となる.それには抗癌剤感受性試験が重要であり,種々の方法が報告されている.Human tumor clonogenic assay2-4,8),nude mouse法14),subrenal capsular assay法20),SDItest26)3H-thymidineを用いたisotope法1,16,22)などで,その他にもflow cytometryによる抗DNAヒストグラム法19),マイクロプレートによるMTT dye還元法9)やクリスタルバイオレット取り込みtest7),collagen gel・matrixによる組織培養15)などがそれであり,それぞれ臨床効果との相関性を示す報告がみられる.またそれらの方法には一長一短がありまだ満足できる方法は確立されていないと言える.今回,私たちは,転移性脳腫瘍に対してCDDPを基本とした化学療法を施行し,その治療効果とコラーゲン・ゲル包埋培養法5,27)にcomputer画像解析を併用した抗癌剤感受性試験13)の結果との相関関係の有無よりこの感受性testの有用性を検討し,あわせて多発性転移性脳腫瘍の治療として一部腫瘍を摘出してその感受性結果に基づいた化学療法の有効性についても検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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