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研究
脳主幹動脈閉塞性病変例の123I-IMP SPECT画像—回転型ガンマカメラによる画像の特徴とその定性的評価法について
著者: 木村隆文12 篠田淳1 船越孝1 矢野大仁1 澤田元史1
所属機関: 1総合大雄会病院脳神経外科 2岐阜大学脳神経外科
ページ範囲:P.525 - P.530
文献購入ページに移動画像の評価法には,あらかじめ,ある関心領域(ROI)を設定し,そのROI内の数値を評価する方法と画像全体をながめて視覚的にパターン認識して評価する方法がある.Single photon emission computed tomography(以下SPECT)画像の脳血流評価法は前者としてはROI内の脳血流量を絶対値で評価する「定量的」方法やROI内のアイソープの集積を他のROIとの比率にて相対値で評価する「半定量的」方法があり,後者の方法としては,画像の血流分布を視覚的にパターン分析し評価する「定性的」方法がある.
SPECTを用いた脳主幹動脈高度狭窄および閉塞による脳循環不全の病態の把握に関する報告は多いが,その多くが脳血流を定量的に評価したものである1,7,13).しかし,脳血流の定量を行うには特殊な装置や繁雑な採血法を要し3,6,8,9)日常臨床の場では必ずしも簡便とは言い難い.一般病院でSPECT装置として最も普及しているのは回転型ガンマカメラであり,これを用いたSPECTの場合,通常の撮像のみでは脳血流量の絶対値は測定できない.従って,日常,定量的評価まで行う余裕のある施設はむしろ少なく,ほとんどの施設は画像の血流分布像を視覚的に定性的評価しているのみというのが現状と思われる.この定性的評価は画像診断上重要であるのにもかかわらず,簡便かつ客観的な統一的方法は確立されていない.このため,われわれは回転型ガンマカメラを用いた123I-IHMP SPECTを施行し脳主幹動脈閉塞性病変の病態を簡便に把握できるような定性的画像評価法を試み,脳循環動態の検討を行ったので報告する.
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