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総説
急性脳腫脹,脳浮腫と脳幹機能
著者: 長尾省吾1
所属機関: 1香川医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.609 - P.616
文献購入ページに移動I.はじめに
脳浮腫あるいは脳腫脹は脳神経外科領域の疾患に合併し,患者の転帰を左右する重要な病態であることから,その発現機序の解明および治療について多くの研究がなされてきた.脳浮腫あるいは脳腫脹で頭蓋内圧が亢進すると,二次的に天幕切痕ヘルニアが発生し,脳幹機能が障害されることはよく知られているが,逆にこの脳幹機能障害がこれらの病態にどのような影響を及ぼすかあまり注意は向けられていない.
急性脳腫脹は臨床上用いられる言葉で,典型的には,急性硬膜下血腫術中などにみられる分秒単位の脳の腫脹,膨隆であって,脳血管緊張の低下を基礎とした脳血管床の増大がその本態とされている.脳血管緊張の低下については,1960年代より頭蓋内圧亢進による脳虚血,ハイポキシアによる脳CO2貯留,乳酸アシドーシスが主因とする代謝性因子説と視床下部を始めとする間脳脳幹に存在する脳血管緊張調節中枢の破綻が原因とする神経性因子説が論じられてきた.
脳浮腫あるいは脳腫脹は脳神経外科領域の疾患に合併し,患者の転帰を左右する重要な病態であることから,その発現機序の解明および治療について多くの研究がなされてきた.脳浮腫あるいは脳腫脹で頭蓋内圧が亢進すると,二次的に天幕切痕ヘルニアが発生し,脳幹機能が障害されることはよく知られているが,逆にこの脳幹機能障害がこれらの病態にどのような影響を及ぼすかあまり注意は向けられていない.
急性脳腫脹は臨床上用いられる言葉で,典型的には,急性硬膜下血腫術中などにみられる分秒単位の脳の腫脹,膨隆であって,脳血管緊張の低下を基礎とした脳血管床の増大がその本態とされている.脳血管緊張の低下については,1960年代より頭蓋内圧亢進による脳虚血,ハイポキシアによる脳CO2貯留,乳酸アシドーシスが主因とする代謝性因子説と視床下部を始めとする間脳脳幹に存在する脳血管緊張調節中枢の破綻が原因とする神経性因子説が論じられてきた.
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