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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科22巻8号

1994年08月発行

文献概要

研究

頭部回転に伴う環椎軸椎関節部における椎骨動脈の変化—脳血管撮影による検討

著者: 高橋功12 金子貞男1 浅岡克行1 原田達男1

所属機関: 1岩見沢市立総合病院脳神経外科 2手稲渓仁会病院脳神経外科

ページ範囲:P.749 - P.753

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I.はじめに
 椎骨脳底動脈領域の虚血症状を来す原因の多くは,動脈硬化性病変による血管の狭窄や閉塞などである.しかし,頻度は少ないが,椎骨動脈の解剖学的特徴から,頭蓋外で,様々な原因によって,機械的な圧迫を受けて椎骨脳底動脈循環不全を起こすことが知られている14)
 椎骨動脈各部の圧迫の原因として,first segmentでは,長頸筋,前斜角筋,頸部交感神経,甲状頸動脈幹,fascial bandなどによる圧迫,second segmentでは,頸部脊椎症の骨棘による圧迫,third-fourth segmentでは頭部回転に伴う環椎軸椎関節(atlantoaxial joint:AAJ)部での生理的な圧迫,環椎軸椎脱臼による圧迫などが報告されている9).この中で,頭部回転によって,AAJ部で,反対側の椎骨動脈が狭窄あるいは閉塞して,椎骨脳底動脈領域の虚血症状が出現することが知られており,bow hunter's strokeと呼ばれている27).この頭部回転に伴うAAJ部の椎骨動脈の狭窄や閉塞はcadaversでの実験的検討から,日常生活における頭部運動でも容易に起こりうる生理的現象であると考えられている4).実祭,日常生活内の通常の頭部運動よって,AAJ部で椎骨動脈が狭窄あるいは閉塞し,脳虚血が起こるかどうかは,極めて重要な問題と考えられ,この点に関して多くの実験的,臨床的報告が見られる1-5,7-29,31,32)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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