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研究
8の字コイルを用いた経頭蓋磁気刺激による麻痺患者の運動領野の同定
著者: 中大輔13 船橋利理1 小倉光博1 桑田俊和1 中井三量1 中井國雄1 板倉徹1 駒井則彦1 上野照剛2
所属機関: 1和歌山県立医科大学脳神経外科 2九州大学工学部情報工学科 3和歌山労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.27 - P.34
文献購入ページに移動最近,臨床で運動機能を評価するために経頭蓋大脳磁気刺激が盛んに使用されるようになってきた3,6,11,12,18-20,23).脳神経外科の領域では,中心溝付近の開頭手術を安全に施行するため,術前に頭皮上から運動領野あるいは中心溝を同定するために用いられている7,8,15).臨床的に問題となるのは,経頭蓋的磁気刺激の対象となる患者のほとんどが運動麻痺を伴っているため,正常人に比較して運動誘発電位(MEP)を得ることが困難であるという点である.特に上肢よりも下肢領域の運動誘発電位を得にくいため,下肢筋の運動領野を同定できないことが多く,麻痺患者では上肢から下肢までの運動領野全体をとらえにくい.
今回,経頭蓋磁気刺激により,重症の麻痺患者においても頭皮上に正確な運動領野を同定することが可能か否かについて検討した.まず麻痺患者において評価の可能な振幅を有する運動電位を誘発するための工夫を行い,次いで誘発電位から機能図を作成し,それから推測した運動領野とMRIから同定した運動領野との位置関係について検討した.
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