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研究
SEPモニター下でのTemporary Occlusionを用いた脳動脈瘤手術
著者: 佐古和廣13 中井啓文1 滝澤克己1 徳光直樹1 佐藤正夫1 加藤光宏2
所属機関: 1名寄市立総合病院脳神経外科 2名寄市立総合病院検査部 3旭川医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.35 - P.41
文献購入ページに移動脳動脈瘤の手術手技はほぼ確立されていると考えられるが,最近報告されたInternational Cooperative Studyの結果では,全手術例の32.1%が死亡ないし何らかの障害を残している8,9).クモ膜下出血そのものによる脳の障害と血管攣縮がmortality,morbidityの主たる原因であるが,手術に伴う合併症もmorbidityの14%を占めており改善の余地がある.
手術時の合併症の重要なものの一つとして術中破裂が挙げられる.術中破裂時のmortality,morbidityの高さについてはすで報告されている2).術中破裂の予防として全身低血圧は一つの方法であるが,全脳虚血の問題がある.一方temporary occlusionは動脈瘤内圧を減少させ,動脈瘤の剥離を容易にし,また脳虚血も親動脈の支配領域に限局するという利点がある.temporary occlu—sion中の脳虚血の程度をSEPモニターにて管理することにより不可逆的脳虚血を避けることができることについてはすでにいくつかの報告がある3,6,7,10,13,14,16-18).われわれは通常の脳動脈瘤の手術においてもSEPモニター下にtemporary occlusionを用いることにより,安全かつ確実にclippingを遂行することを方針としているが,今回その経験をまとめたので報告する.
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