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症例
脳室—腹腔短絡術と乳突天蓋部先天的骨欠損が誘因と考えられたTension Pneumocephalusの1例
著者: 和田司1 遠藤英雄1 鈴木利久2 湯川英機3 小川彰4
所属機関: 1岩手県立花巻厚生病院脳神経外科 2岩手県立花巻厚生病院耳鼻科 3ゆかわ脳神経外科 4岩手医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.55 - P.59
文献購入ページに移動Tension pneumocephalus(以下TP)とは,「頭蓋内の硬膜外,くも膜下,脳室内,あるいは脳実質内に空気ないしはガスが貯留し,頭蓋内圧の上昇をきたすもの.」と定義されており,急性の経過をとり生命の危機にまで至る症例の報告も散見されている2,7).しかも,TPの発生は脳神経外科領域において,ごく一般的に施行される手術治療と密接にかかわっている場合が多いが,airの流入経路については,その発生メカニズムの同定が困難な例が少なくない.
今回,われわれは,後頭蓋窩髄膜腫全摘およびV-P shunt後にTPの再発と消退を繰り返したが,耳鼻科的に乳突天蓋部形成術にてTPを治癒せしめた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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