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研究
動脈内投与によるMCNUの血中濃度と脳腫瘍腔内濃度の検討
著者: 山崎俊樹1 長尾聖一1 加川隆登1 小西正治1 秋山恭彦1 福田理子1 木村麗新1 森竹浩三1
所属機関: 1島根医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.963 - P.969
文献購入ページに移動悪性神経膠腫の治療に際し,生検を含む手術により組織診断が確定されたのち,放射線療法,化学療法,インターフェロン(IFN)—β療法などを併用した集学的治療が施行される4,16).悪性神経膠腫に対する化学療法には,わが国では水溶性ニトロソウレア系抗癌剤のACNUやMCNUが広く使用されている7,10,25,27).化学療法の治療効果を向上させるためには抗癌剤の腫瘍内濃度に関する薬物動態の解析は重要な研究課題であり,実験脳腫瘍モデルあるいは臨床例を用いた検討がすすめられている1,5,6,9,13,14,19,22,24,28).近年,抗癌剤の腫瘍組織内への移行を促進する試みのひとつとして選択的に動脈内投与(動注療法)が施行され,その治療効果が期待されている2,3,12,17,20,26,29,31).
われわれはテント上悪性神経膠腫の集学的治療において,その初期寛解導入療法や維持療法に際しMCNUの動注療法を併用している.今回,腫瘍摘出腔内あるいは嚢胞性病変内にOmmaya reservoirを留置した症例において,MCNUの動注後経時的に血中および腫瘍腔内濃度を測定し,MCNUの腫瘍腔への移行について薬物速度論的検討を行い,新たな知見を得たので文献的考察を加え報告する.これまでに動注によるMCNUの脳腫瘍腔内への移行に関する薬物動態を解析した臨床研究は見当たらない.
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