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“手作り”のおもしろさ
著者: 増沢紀男1
所属機関: 1自治医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.95 - P.96
文献購入ページに移動新入医局員の初めのトレーニングは経皮的内頸動脈撮影の手技を覚えることであった.慣れてくると“アンギオ部屋”で一日中何例もこなすようになった.ところが経皮的椎骨動脈撮影法は難しく,なかなかその秘技は伝授されなかった.間違って脊髄腔内に造影剤を注入してしまうこともあり危険な手技であった.椎骨動脈穿刺は頸動脈走行より内側でやや内側に向かって刺入し,針先を第6ないしそれより上位の横突起部あるいは椎体にあてる.針先にこの骨の感じがよくわかるので闇夜で杖をつくようにコツコツと横突起部に沿って針先を外方へずらし,前結節の隆起のあたりでその上縁あるいは下縁に沿って6-8mm針を刺すと椎骨動脈に当たった.その頃は脳血管撮影一つをとってみても,神経学的検査を充分に行った上で,適応を充分に考え,テクニックを駆使する“手作り”のおもしろさがあった.
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